きみにうつくしい孤独を

月君は白いですね。
そう言うと、お前はどうなんだ、と返されて、あぁ貴方は、なんて。多分貴方が思う“白”というのは、例えば肌の色とか、服の色とか、そんな視覚的なもの。目で認識する全ての色から、“白”を選んだだけでしょう。でも私はそんな、陳腐でありふれた言葉じゃない、きっともっと、ずっと崇高なそれを、貴方の中に見い出したんですよ。
「竜崎だって、白い。僕よりずっと、肌だって」
「はい、私は白い。けれど月君の白さとは違います。」

(貴方の白さは万物を引き寄せる重力の様、でも違う、引き寄せられるのは私のような。嗚呼、愚かな、)

「私は黒です。」
「髪色のことか?」
「いえ、私は黒なんです。」
貴方の清廉で潔白な意志を汚してみたいと思う私は醜いでしょうか。貴方を私の黒で犯してみたいと思う私は狂っているんでしょうか。
君は不思議そうな顔をするんでしょうね。理解できないとでも言うんでしょうね。でも君は(僕に理解できないことなんてあるはずない!)なんて傲慢で愚か、そして美しい。私は貴方が大好きです。貴方の白くて、白くて、白すぎる思考がだいすきなんです。私と決して交わらない回路が愛しい。愛しくて堪らないんです。

(07/05/09)